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医療系大学生のリアルに迫る「MedYou Laboys&Girls」vol.1【東北大学医学部6年 林明澄】

今回、医療系学生(MedYou Laboスタッフ)が考えていることを根掘り葉掘り伺う医療系大学生のリアルに迫る「MedYou Laboys&Girls」を開始いたします!このコーナーでは、スタッフ一人一人に対して、「高校生の皆さんに伝えたいこと」、「高校生だった自分を振り返ってみて」などをテーマに語ってもらい、それをインタビュー記事の形でまとめています。

私たちの経験が、これからを生きる中高生の皆様の歩みのヒントになれば幸いです!今回はその第一弾です!

インタビュアー:慶應義塾大学看護医療学部 成田万里奈()

インタビュイー:東北大学医学部 林明澄()       


目次

  • 独立した今だから考えること

  • 出張授業を始めたきっかけ

  • 自分の進路選択に後悔はない

  • 患者という立場で、医療者と同じ方向を向けた気がした

  • 高校時代の自分に会えたら

  • 患者さんの幸せに貢献できる医師に

  • 対面で行うことのこだわり


ま:よろしくお願いします!まずは自己紹介をお願いします。


あ:MedYou Labo代表、東北大学医学部医学科6年の林明澄です。よろしくお願いします。



独立した今だからこそ考えること

ま:高校生向け出張授業「医療者を目指す君たちへ」は、2020年度からMedYou Laboとして独立したんですよね。半年間の活動を振り返ってみていかがですか?


あ:そうですね、今まではIFMSA-Japanという大きな組織の中の企画の1つだったので、独立して、団体になったからこそ考えることが多くなりました。例えばお金をどう動かしていくかとか、安定して団体運営をしていくにはどうしたらいいかとか。


ま:なるほど。


出張授業を始めたきっかけ

ま:そもそもこの企画を立ち上げようと思ったきっかけは?


あ:この企画を始めたときの想いは2つあって、

1つ目は、「高校生に悔いのない進路選択をしてほしい」というものです。大学に入って周りの人と話していくなかで、高校生が医療系の進路を目指すと決めたときに、しっかりと色々な職種を知って、それぞれの学部の特徴を知ってから選ばないとミスマッチが起こりやすいのではないかと思いました。


ま:たしかに、入った大学の雰囲気に馴染めなかったり、学部のカリキュラムと自分が学びたいことにズレがあると感じてしまったりすると、大学生活に対するモチベーションを保てなくて辛いですよね。特に医療系学部は勉強量が多いですし…

あ:そうなんです。実際、学校の先生からはそういった情報を得にくいし、大学の内情は見えにくいですよね。高校生により近い大学生という立場から、医療系学部での学生生活の話や医療現場の話をしてあげられたらいいなと思っています。


ま:実際に大学生から話を聞けるのは、高校生にとって貴重な体験ですよね。2つ目の想いは?


あ:2つ目は、少し壮大な話になってしまうのですが、「医療って面白い!と思って欲しい」という想いです。命や健康に関することって、自分の身近なものであるはずなのに、あんまり知る機会がないと思いませんか?自分が将来病気になる可能性もあるし、自分の体や健康にもっと興味を持てるような機会を若いうちに持ってほしいと考えています。


自分の進路選択に後悔はない

ま:なるほど。1つ目の想いについてですが、「なるべくたくさんの高校生に悔いのない進路選択をして欲しい」と感じたのは、ご自身の経験からですか?


あ:そうですね…。私は自分の進路選択を後悔しているわけではないし、縁があってこの大学・学部に来ていると思っているので、「人生をやり直せたら違う大学や学部を選ぶのか」と聞かれると、そういうわけではないです。


でも、大学に入ってから他学部の人と話したり、実際の医療現場を見たりするなかで、自分の知らない学問や職種がたくさんあることに気づきました。それと同時に、「医師が医師だけでできることって少ないんだな」という衝撃を受けました。ドラマなどでは、医師が医療現場の代表格として取り上げられがちですけどね…。


全ての職種にそれぞれの強みがあるのに、医師以外の職種に目を向けないまま、大学受験をして、医学部で6年間大学生活を送って卒業してしまったら、「自分は医師だ」という自負だけを持った人になってしまうのではないかと少し思ったんです。結果的に医学部を選ぶのだとしても、他の進路について知る機会があった方がいいのではないかと考えています。

患者という立場で、医療者と同じ方向を向けた気がした

ま:2つ目の「自分の体や健康にもっと興味を持って欲しい」という想いが生まれたきっかけはありますか?


あ:私はアトピー性皮膚炎を持っていて、時にはひどい症状に悩まされた経験があるんです。なるべく症状が悪化しないように試行錯誤をしたのですが、うまくいかないことも多かったんですよ。良くなったり悪くなったりすると、「どうしてだろう?」って知りたい気持ちが強くなりました。


医学部に入って、皮膚科のことを知りたいなと思っていたのですが、一年生の授業は一般教養ばかりで医学に触れる機会は少なくて。そんな時に、神戸で行われた学会に参加して、最先端の研究に関するお話をたくさん聞くことができたんです。


もちろんわからないことや知らない単語もたくさんあったけど、自分の体調に関連していることもあって、自分の体で起きていることのメカニズムを知ることができてすごく感動しました。例えば、「家に帰って安心すると急に痒みが出てくる」現象がどうして起きるのかを学会でお話しされている先生がいて、「それ私もある!こういうことだったんだ!」って思ったり。アトピー性皮膚炎を初めとした慢性疾患は、「治らない病気だ」って言われることも多いので、きっと解明されていないことが多いのだろうと思っていたからこそ、新しいことを次々に知れて、面白いと思いました。


その時は専門的なことを何も知らなかったけれど、もっと自分で自分の体を大事にしようと思ったし、医療者と同じ方向を向いて治療に臨めるようになった気がしました。

今進められている治験や過去に開発された治療薬を使って、自分も健康になりたいし、同じように医師として人を助けたいと思うようになりました。


私が1年生の時に学会で話を聞いてわかるところがあったように、専門知識がない方でも、難しい単語を使わなければなんとなく理解することができたり、へーって思ったりできる部分はあると思っています。それが自分に関連している話だったらなおさら面白いと思いますし、私が1年生の時に受けた衝撃をもっとたくさんの人にも感じて欲しいです。


「医療って面白い!」と衝撃を受けた
初めて参加した皮膚科学会で購入した抄録

ま:医療のことって医療者だけのものだと捉えられがちですよね。


あ:そうなんです。私自身も、医学部に入る前は「医師から言われた通りにする」という受け身な姿勢で治療を受けていた時期もありました。自分が持っている病気でも、今後持ち得る病気やケガでも、もっと主体的に知れる機会があればいいなと思います。

「医療をより身近に感じて欲しい」という想いが強かったからこそ、リアル救命救急ゲームでは、若い人でもなりえる病気やケガをピックアップして応急処置を体験できるワークショップをつくりました。


ま:なるほど。確かに「転んで歯が折れる」「骨折をする」などのシナリオは高校生にとっても身近ですね。

リアル救急救命ゲームでの一コマ

高校時代の自分に会えたら

ま:大学に入る前の自分に何か伝えられるとしたら何を伝えたいですか?


あ:そうですね…。「医療って面白いよ」って伝えてあげたいです。

実は、この一言にはいろいろな想いがこもっています。大学に入ってから、医学を学ぶ楽しさだけじゃなくて、新しく出張授業を立ち上げた経験から仲間と思いを形にする楽しさを知りました。「入学したらこんなに面白い世界が待ってるよ」という想いと、「進む道は間違ってないから、その調子で頑張ってね」という想いですね。


ま:すごくポジティブで、より一層モチベーションが上がる言葉ですね。


あ:体調が悪かったときは精神的にもしんどかったけど、体調が良くなると気分が明るく楽しくなった経験があって。おこがましいかもしれないですが、こういう経験を他の人にもさせてあげたいなと感じています。


何かしらの形で他者に貢献できる人間になりたいなという想いがあり、私自身は医師に助けてもらったので、医学部に入って皮膚科医になろうと思いました。当時は迷うことなく医学部を目指していたので、そのときに視野を広げていたらもっと色んなものが見えたかもしれないけど、今の自分は後悔していないので、それを伝えたいです。


ま:自分の選択に後悔がないって言い切れるの、すごく素敵です。


あ:「他の選択をしていたらもっと良い人生があったんじゃないか」と思うよりは、今できることを精いっぱい行いながら「自分の進む道はここなんじゃないか」と思いながらいつも歩いています。

患者さんの幸せに貢献できるような医師に

ま:今後はどんなことをしていきたいですか。


あ:2つやりたいことがあります。

1つ目は、患者さんの幸せに貢献できるような医師になるために、自分の医療の専門性を向上させることです。


2つ目は、一般の方が医療のことを身近で面白いものだと感じて、もっと知ろうと思ってくれるような機会を作っていきたいです。医療者として医療の専門性を高めた状態だからこそできることを考えていきたいですね。


対面で行うことへのこだわり

ま:中高生だけでなく、様々な世代を対象にして活動していくということですか?


あ:もちろん幅広い世代を対象にしても良いのですが、私はできる限り早い段階で興味を持つことが大切だと思っています。かと言って、自分の体のことを理解するのが難しい年齢だと意味がないのかなと思うので、この団体で中高生に向けた企画をやっているのはすごくいいなと思っています。新しい媒体なども取り入れながら、他の人がまだやっていないことや見落とされているニーズを大事にしていきたいです。


ま:新しい媒体というのは、ブログやYouTube、SNSなども活用していきたいということですか?


あ:もちろんそれらも効果的だと思いますが、媒体を介した発信だけじゃなくて、face-to-faceのコミュニケーションは今後も大事にしていきたいと思っています。

専門知識を身につけていくにつれて、「医療従事者でない人はどんなことを理解しやすくて、どこに丁寧な説明が必要なのか」といった視点は失われていくように感じているので、直接語りかけて直接反応が返ってくるという環境が大切だと思うんです。来年度以降も、自分の医師としての仕事との両立を図りながら出来る限り活動していきたいですね。


ま:過去のことから未来に向けたお話を伺い、あすみんさんの信念や価値観に触れることができました。あすみんさんが一人の医師として、MedYou Laboの代表として、どのように医療を捉え未来に働きかけていくのか…今後も目が離せません!


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