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医療系大学生のリアルに迫る「MedYou Laboys&Girls」vol.2 後編【北海道大学医学部6年 加地紫苑】

「MedYou Laboys&Girls」の第2弾。今回は副代表を務めている加地紫苑ちゃんのインタビューの後編です。

前半はすべての記事よりご覧ください。

インタビュアー:慶應義塾大学看護医療学部 成田万里奈()

インタビュイー:北海道大学医学部 加地紫苑()     

目次

前編

  • コロナ禍だから挑戦出来たこと

  • クラウドファンディングを通して形作られた覚悟

  • 考え方を「アップデート」することが未来につながる

  • 医学部入学後の価値観の変化

後編

  • 医学研究という道

  • 進路選択の迷い

  • 日本のみならず世界で研究していきたい

  • これからのMedYou Laboとの関わり

  • 自分が面白いと感じたものを大切に

  • 中高生が主体的に学べるようなコンテンツ作り

医学研究という道

ま:そもそも医師になろうと思ったきっかけはあったのですか?


か:医師になりたいと初めて思ったのは中2の時ですかね。


ま:結構早いですね。


か:私が13歳の時に、父が心筋梗塞で倒れたんです。幸いPCI(経皮的冠動脈インターベンション※1)によって一命をとりとめましたが、初めて救命救急の現場を見たときのショックはかなり大きかったです。たくさんの医療機器に囲まれる患者(父)を見て、「怖いな」とすら思いました。その時は「医療ってすごいな」という印象よりも、「医療現場ってこういうところなんだ…」という印象が強かったです。


その後自分の将来像を考えたときに、医療への興味と、もともと漠然とScienceの分野で学問をやっていきたいなと考えていたことが重なって、医学部という選択肢が自分の中に生まれました。あと、山中伸弥先生のノーベル医学・生理学賞受賞のニュースを見て、医師になり研究をすることもできると気づけたことも大きいです。


ま:当時から「研究者になりたい」という気持ちが強かったのですか?


か:そうですね…。正直に言うと、自分に臨床医として働く適性があるのか分からなかったし、ましてや自分が医師に向いているなんて全然思っていませんでしたし。

それよりも、医学というものに純粋に興味があって、わからないことを発見して少しでも医学の進歩に貢献したいとずっと思っていました。


※1PCI(経皮的冠動脈インターベンション:percutaneous coronary intervention)

心臓に血液を供給している"冠動脈"が細くなっているところに、カテーテルと呼ばれる細長い管を挿入して血管を押し拡げ、血流を取り戻す治療法


進路選択の迷い

ま:MedYou Laboの活動の目的の一つに、中高生の視野を広げるということも含まれていると思うのですが、かちおんさんは医学部以外の選択肢は考えましたか?


か:高校生ぐらいになって具体的な進路を決める時に、理学部でも医学研究はできるので迷いました。医学部って偏差値も高いし、理学部一本に絞ったほうがいいのかな…と思ったこともありました。


でもそのタイミングで、父が倒れたときに色々と相談に乗ってサポートして下さった基礎医学研究者の方に進路の悩みを相談する機会があったんです。日本の医師の事情も深くご存知で…その先生から、「今のあなたには分からないかもしれないけど、将来研究をやっていく上で、医師免許を持っていることは大変大きな意味をもつ」と言われ、私はその言葉を信じて医学部に決めました。


日本のみならず世界で研究していきたい


英・オクスフォード大学 医学研究留学プログラムメンバーとの一枚

ま:すごく説得力のある言葉ですね。医学部に入る前の段階で、すでに惹かれている研究分野があったんですか?


か:惹かれるテーマや分野は大学で見つけたいと思っていたのですが、高校生の頃から、臨床と研究の2足の草鞋を履く人になりたいとは思っていました。


大学では、自分の惹かれる分野を見つけ、(語学留学ではなく)医学の専門性を追求する留学を実現させたいと考えていました。


ま:実際に6年間医学部で勉強してみて、研究したいと思える分野は見つかりましたか?


か:がん生物学が面白いと思いました。現在の医療の現場では、臓器ごとに別々の診療科でがんを診断したり治療したりしているのですが、本来がんは体のどこにでも発生しうるものなので、体系的に捉えて向き合う必要があります。将来はそういった研究に携わっていきたいなと考えています。


ま:かちおんさんは今後医師としてどんなことをしていきたいですか?


か:臨床医の視点を勉強したうえで研究に従事していきたいと思っています。そのために、時には回り道をして必要な情報や環境を得たり、時には流れに身を任せたりして、自分の考え方や価値観をアップデートしていきたいです。さっきも述べたように、時間はかかるかもしれないけれど、将来的には、がん生物学の発展に貢献できる何かを成し遂げたいと思っています。


また、海外留学の経験があったからこそ今の自分があると思っているので、今後も機会があれば海外で研鑽を積みつつ、常に勉強を続けていきたいなと思っています。


ま:ストイックな姿勢、かっこよくて素敵です。


か:今の自分と5年後の自分では、高校生に伝えられることが大きく変わると思うので、その時々で考えながら活動していきたいです。



これからのMedYou Laboとの関わり

ま:来年度以降、MedYou Laboとはどのように関わっていきたいですか?


か:積極的に関わりたいです。もしかしたら自分みたいに、臨床医という働き方だけじゃなくて医学研究にも興味があって進路に迷っている高校生がいるかもしれないし。将来研究をやっていきたいって思っている医学生って、高校生の目には新鮮に映るかもしれないし。高校生の力になれるように、自分自身もしっかりやっていかなきゃなって思います。


ま:私自身も、高校生の頃は医療職にこんなに多様な働き方があるなんて知らなかったので。かちおんさんのお話が視野を広げるきっかけになる高校生もいるんじゃないかなと思います。


中高生が主体的に学べるようなコンテンツ作り



ま:これからMedYou Laboでやっていきたいなと思っていることはありますか?


か:出張授業をもっといろんな高校で開催出来たらいいなと思っています。個人的には、自分の出身地である宮崎のどこかで出来たらいいなと。

コロナ禍でのオンライン企画が成功したことによって、今までMedYou Laboの一番の課題であった物理的距離が解消されたと感じています。今後もオンライン企画へのニーズが高まっていけば、正しい医療知識の提供やヘルスリテラシーの向上を今以上に進めていくことができると考えています。


ま:物理的距離が解消されたのは大きいですね。


か:また、私はMedYou Laboの活動のターゲットを中高生に定めることにも意味があると感じています。


10代っていろんな情報に感化されやすい年代だと思うし、情報を取捨選択するトレーニング期間でもあると思うから、高校生が主体的に取り組めるようなトレーニングを考えていけたらいいなと思っています。例えば、高校生に調べ学習の課題を出して、調べてきてくれた内容を、ワークショップの中で専門知識を持った人が確認して、彼らが間違って認識していた部分を指摘するとか。受け身の姿勢でただ教えてもらう形式とは違う新しいやり方を取り入れることが、本当の意味でのヘルスリテラシーの向上につながるんじゃないかなと思います。



自分が面白いと感じたものを大切に

ま:最後に、大学に入る前の自分に、何か伝えられるとしたらどんなことを伝えたいですか?


か:難しいですね。大変なこともいっぱいあると思うけど、自分の好奇心に素直に従うことが正解だと思うよって伝えるかな…。


後悔しない選択をするためにも、自分が「面白い」と思ったものを大切にしながら前に進んで欲しいです。周りが何と言おうと、自分が惹かれる方向に突き進んでいくことが私らしさだと思うし、結果がどうであっても後悔せずに次のステップに進めると思うので、どうかそのスタンスを崩さないでいてほしいって伝えると思います。




ま:しっかりとかちおんさん自身のお話を伺ったのは初めてだったのですが、今回のインタビューを通して、かちおんさんの優しさや芯の強さに触れることができました。

中高生にも、MedYou Laboのスタッフにも誠実に向き合うかちおんさんの姿勢を、後輩として見習っていきたいです。

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